君に、青を――
なーんか、服を引っ張ってるみてぇだな。
オレが着せたヤツだからオレが脱がせねェと脱げねェんだけど。
「おい、何してんだ? さっきから」
いきなりソファに座った体勢で声をかけるとサツキは飛び跳ねるように驚いた。
別に、ずっと見てたんだけどな。
なんか、オレが居ねェほうがいいみてェだし。居ねェ振りしてたんだけど、気になった。
「それ、脱ぎてェのか?」
ずいっと顔を近づけて笑ってやる。
「その服、飽きたのか。
あ、それともオレに脱いでくれんのか?」
……最近、泣かなくなったな。
人間ってのは慣れるらしいし、少しは懐いたのか?
にしても、ベッドの上から動かねェなぁ。
「ま、ずっと着てりゃ飽きるよな。
次はどんな服がいい?」
サツキは首を横に振って、
「……お風呂、入りたい……」
「風呂?」
あー、身体汚れたのか。ニオイでも気になるのかもな。
「ほらよ」
オレはサツキの頭に手を置いて身体の汚れを取ってやる。ついでにドレスも変えてやった。
「これでいいな。
珍しく口きいてくれんだな。少し話そうぜ」
「…………」
あー、もう。
「分かったよ。風呂だろ、分かった」
適当なトコにバスルームを作って連れて行く。
大分、人間のことは調べたからな。多分これでいいだろ。
「ほら」
裸に戻してバスタオルを放ってやる。
「風呂入ったらそれでも着て待ってろ。
……少し時間かかるからよ」
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