君に、青を――
ん? 毛布着て待ってたのか。
荷物があるからドアを開けて入る。
「ほらよ」
持ってきた紙袋を渡すと不思議そうな顔してやがった。
「オレが出した服じゃイヤなんだろ?
……買ってきてやったから」
「……え?」
「だから! 買ってきたんだっつってんだろ!
オレが出したんじゃねぇって!」
あー、もう、まどろっこしい!
毛布を剥ぎ取って紙袋から下着出して……
…………
……これ、どうやって着せるんだ?
「ほら、着ろ」
あー、分かったよ。
「向こう向いててやるよ」
椅子を掴んでサツキとは逆方向に向けて座ってると着たみてぇだった。
「お、可愛い可愛い」
とりあえず褒めとけって店員の女どもが言ってたからな。
それに……かわいーし。
「じゃあ、次はこっちな」
椅子をちゃんと置くと向い合せに座って……シュークリームとかいうのを出してやる。
「……え……」
「店員どもがウマいっつってたんだから、ウマいんだろ。多分。
ほら、食えよ」
ホントにこんなんで機嫌良くなるのか?
あの女ども、甘いモン食わせろとか言ってやがったが。
買いに行ったら別の女どもがギャーギャー声かけてきてうざってェ。
なかなか食わねェな。
「別にヘンなモン入ってねェよ」
言いながらオレが先に一個取って一口食う。
なんだこりゃ。甘ェばっかで甘ったりぃ。
「ほらよ」
別のを手に持たせてやると食いだした。
…………
……なんか……ほっとした顔してんな……
お。一個食った。
もう一個渡してやると、ゆっくりだけど食った。
「……あ!」
三個目を一口食って、いきなり声を上げる。
「……どうした?」
「これ……あなたの……」
「……?」
意味が分からねェでいると、
「だって、四個だったから……」
「はぁ?」
……ああ。そうかそうか。
くくく……かわいーの。
「いいんだよ。ほら、これもやる」
腹減ってたんだな。
最後の一個はオレが齧ったとこからクリームこぼして……ほんっと、かわいーの。
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