好きなんて言えないよ。
「女の子を甘く見るからだっ!」


私は炭以外の必要な物を手に持ったのを確認して紺野君を置いて歩き出した。



「逢瀬〜。逢瀬〜。早いよ〜。待ってよ〜」



後ろから紺野君も着いてくる。



しーらないたらしーらない!


「もお〜…。十和っ!!!」


後ろから大きな声で聞こえてくる私の下の名前。



他のクラスメイトはなんだなんだというようにこっちを見てくる。


やばいやばい、恥ずかしい。


「ちょっ、何言ってるの紺野君!」



私が周りの目を気にしながら少し小声でそう言うと



「やっと、こっち向いた〜。こうでもしなきゃ逢瀬振り向かないんだもん〜」


そう言って何食わぬ顔で歩き始めた。


十和って言われた瞬間ドキッとして胸が張り裂けそうになった。



あー、私やっぱり好きなんだ。


そんな感情が頭の中に駆け巡った。


「置いてくぞ〜」


「あ、待ってよー!」


私は紺野君の後を追った。



< 155 / 256 >

この作品をシェア

pagetop