好きなんて言えないよ。
レジに向かって会計を済ませたあと


「ごめん、逢瀬。話聞くって約束してたのに。今日はごめんな。楽しかったよ」


コンビニから出るとすぐに早口でそう言った。


「ううん、いいよ。急用でしょ?早く行きなよ」


本当は行って欲しくなんかなかった。



でも彼女でもない私にそんなこと言う権利なんてないし、ましてや急用だ。


行かないでなんか言ったら紺野君は絶対に困ってしまう。


「…またな!」


紺野君はそう言うと駅の方走って行ってしまった。


私は見えなくなるまで歩かずにその背中を見つめた。


これを境に私が理由を知るまで紺野君は学校へ来ることはなかった。



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