好きなんて言えないよ。
「…こ、紺野君」


紺野君はびっくりした表情で私たちの近くへと来た。


「なんでここに?あ、桜に俺の家の付近教えたの俺か」


桜ちゃんと私を交互に見ながら冷静にそう言う紺野君。


「うん、私は送って来ただけだから、帰るね」


そう言うとまたねと言いながら後ろを向き歩いて行ってしまった。


「…ってことは逢瀬が俺に用事あるの? あ、もしかしてこの前いきなり帰ってたから怒ってる?ほんとごめんな、あれは…」


一人でペラペラ喋る紺野君に私は拳で肩を軽くパンチした。


「…なんでLINE返さなかったのかと思った」


彼女じゃないのにこんな事を言うなんておかしいかもしれない。


けど、心配で心配で…。


「あ、ごめん。ちょっと色々とあって…」


「うん、こっちこそこんな事言ってごめん」


お互い無言でいると…


「翔太…」

女の人が立っていた。


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