御曹司の秘書さんのため息◆
「---だから、---あぁ、そう、
市川、武。お前、今回 僕の、個展を見てないんだよな?」
「…。申し訳、ございません。」
深々と頭を下げる。
そういえば今回開催の個展は見ていない。
いつもは、
昴様がいらっしゃる ついでに 見るからなぁ。
「いいよ、別にーーーー。
何の ついでもないもんな?」
「・・・・っ。申し訳 ございません」
本心をつかれて、一瞬言葉に詰まる。
始さんは、楽しそうににやりと笑った。
あ、ちょっと目をすぼめた目元とか、
やっぱり兄弟なんだな。ちょっと 上司である
昴を、思い出す。
「えぇとーーー
----、これ、これ。」
楽しそうに、コートの上着をまさぐって 取り出したのを
ひらひらと させながら、
武の目の前に、差し出す。
プリントアウトされた・・・紙?
「・・・、あの、始さん・・・これは
今回の新作の絵でしょうか?」
「そう。良いかんじ。だろ?」
自画自賛かよ。
と、突っ込みたくなるところを
ぐっとこらえる、・・・確かに、きれいだ。