御曹司の秘書さんのため息◆
薄いブルーのグラデーションと濃いブルーのグラデーションが真ん中で分かれていて、その分かれ目から光が指すように黄色ともオレンジともいえない色が漏れている。
普段は、もっと意味の解らない・・・もとい、奇抜な現代アートって感じなのに、
シンプルできれいだと思った。
「本物は、もっときらめいていてーーーーでかいんだ。」
また、あの、楽しそうな意地悪そうな笑顔を浮かべた。
「・・・・そうなんですか。」
「タイトルは『スバル』。ぴったりだろう?」
「・・・はぁ。」
おいおい、弟の名前を付けるって。
若干 引く。
苦笑しか出ない。
「---。飾ろうと思って。」
「…恐れ入ります。どこに、でしょうか?」
「市川、武。お前、愚問だな?」
やっぱりか。
はぁ。
ため息しか出ない。
「・・・ あのーー」
この壁に飾るのは遠慮してください。と言いかけた時、
ガチャリと部屋のドアが開いて、
この、変人画家以上の 変人が入ってきた。
「おはよー。武っ!帰ってきてくれてうれし・・・
って、始兄さん?!
また来たのかよ!!!」
上司である、昴だった。
どうやら、昨日も来たらしい。