御曹司の秘書さんのため息◆
「まったくもぉ。
私を置いて、別の女とどこかに行くだなんて、
ほんっと、失礼よっ。」
「・・・申し訳ありません。」
「だいたい、今日は、私が武さんを貸切でしょう?
ひどいわ。
私は、楽しみにしてたのにっ。
しかも、変な男ばっかり声をかけてくるしっ。
それなのに、結局
仕事の、昴さんにばっかり気を配って・・・
あの女も、昴さんの。でしょう??」
そりゃ、
昴様に気を使うのが本職だからな。
「・・・申し訳ありまーー」
「もうぅ。私とあの女っ。どっちが大切なのっ。」
・・・・。
流石に、不愉快だ。
思わず、舌打ちをしそうになるが、
思いとどまった彼は、おもむろに銀縁メガネを取って
胸ポケットにしまう。
「・・・なぁに・・・?」
ぷいっと
可愛らしくやきもちを焼いているレイナは、
横目で武に視線を送った。