御曹司の秘書さんのため息◆
「市川」と上司に呼ばれたことで、
一気にいら立ちと熱が冷める。
レイナを見ると、
肩をすくめておびえたようにじっと俺を見てた。
そりゃそうだろ。
いつもは、言葉少ないできるだけ紳士な俺だからな。
イライラしすぎて
素が出てしまった。
「・・・。言い過ぎました。申し訳ございません。
昴様も、申し訳ございません。」
「謝る相手が違うだろ?
市川、レイナ嬢にきちんと謝罪をして。」
「いえっ。その、私は・・・」
勢いに任せて、取引先の御嬢さんをむやみに傷つけなくてよかった。
「そうだなぁ。
お詫びのしるしに、お食事でも・・・
なぁ、市川。」
「えぇ・・・え?!!」
「まぁ、うれしいわ。」
なんてレイナがにっこりとほほ笑むのだから、
この場は収まったのだが
ちょっとまて、
「・・・昴様。なんでーー私が・・・」
「じゃぁさ、俺とディナー行こうぜ?
レイナと、俺、どっちがいい??」
なんて、意地悪そうに聞いてくる上司に
俺は、心からいら立ちを覚えた。