御曹司の秘書さんのため息◆

ユナがちょっと目を伏せながら
こちらをちらりと見る。


「・・・ねぇ。
 もし、私がお願いしたら
 武は、私のこと婚約者から奪ってくれる??」


「無理だな。」

即答。



なんだ急に。

思わず眉をしかめた。


「そうよね。くすくす。
 やだぁ。即答することないじゃない。」

ちょっとさみしげに
ユナが笑う。

「そうよね。
 わかってたのにね。」

「・・・悪いな。」


「いいのよ。本気にならないっていう約束だし。」


あぁ、しまったな。


飲みになんて付き合わなければよかった。

最後まで、
最後の最後まで、

都合のいい、冷たい男で居なければいけなかった。


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