御曹司の秘書さんのため息◆








まぁ・・・

たしかに、
確かに、俺は秘書である市川をからかいすぎたかもしれない。


・・・でも。




「なぁ!!!一週間も有給を勝手にとるって
 ひどくねぇか??!!」

『あー。うるさいなぁ。昴
 市川はうちにも来てないし、
 有給もきちんと申請されているんだろ?』

電話口で怒鳴り散らす。
相手は、いとこの正樹。



「正樹兄ぃ・・そうなんだけど。
 しっかり秘書室長の許可済み。」

『じゃぁ、いいじゃないのか?
 ずっと働きづめだったんだから、一週間ぐらいのバカンス許してやれよ。

 ってか、俺を巻き込んで喧嘩すんなよ。
 倦怠期カップルかよ。ははは。』

ったく。なんだよ。


軽い笑いに、
少しいら立ちを覚えつつ

通話ボタンを切って、
誰もいない、常務室をくるりと見渡す。


はぁ。


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