ama-oto

　この人日曜の朝からよく頭が回ると少し感心してしまった。日曜の朝から彼氏がいる女に電話する神経もすごい。電話越しの、無理のない明るさと冷静さの両立した声を聞きながらぼんやりしてしまった。清人は電話が嫌いで、どちらかというと、もごもご話してくるから集中していないと聞き逃すけれども、この人はそんなことがなさそうだ。

　「聞いてた？」
　
　その言葉にビクッとした。福間くんの話を聞きながら、あろうことか、半分寝ていた。ほんの30秒ぐらいの間、完全に意識が飛んでいた。それぐらい、昨日の今日で疲れているようだ。

　「すみません。聞いていませんでした。」
　「豊崎さんって面白いね。」
　「むしろ、朝の8時に電話する福間くんも十分面白いと思うよ。」

　イヤミをたっぷり込めて返事をした。普通に考えて、日曜日の朝、彼氏と一緒にいたりする可能性を考えないのだろうか。それは私の中だけの基準なのだろうか。