ama-oto
 「いつもいつも、バイト上りにいろいろ作ってくれて、こちらこそありがとうね。」
 「ねえ、清人。」
 「なに?」
 「普段の日曜日の夜って何してる?」

 バイトだということ以外の清人を私は知らない。聞いてもいいのだけれども、なんだか聞けずにいた。明日から月曜日だけど授業ちゃんと出るんだよ、っていうメールを送る程度しかしていなかった。

 「ぼーっとしてる。」
 「ふーん。」

 お茶を一口飲んだ清人の腕が私の方に伸びてきて、ふわっと私を包むように抱きしめた。

 「昨日の菜月を思い出す。で、寝る。」
 「そっか。」
 「風呂入ってくるから、待ってて。」

 心の傷が少し、痛くなくなったような気がした。私の場所は、ここでいいんだと、言い聞かせた。
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