ama-oto
 2限が終わって、すぐ肩を叩かれた。

 「行きますか。」
 「はい。」

 私は、福間くんのお財布事情と自分の食べたいものを考えて、回転寿司をリクエストした。大学近くの回転寿司店はお昼ということもあり、ほどほどに混雑していた。

 「おごりだからって、食い過ぎ禁止でよろしく。」
 「大食いの女王とかじゃないから、安心して。」
 「それにしても、回転寿司って、色気ね―な。」
 「うるさいな。」

 清人は生モノが食べられない。好き嫌いはあまりないが、生モノはどうしても苦手といわれた。私はお寿司やお刺身といった生モノが好きで、二人で外食するときに回転寿司が選択できず、回転寿司行ってないなと気がついて、リクエストした。手を拭いて、回っているお寿司やメニューを眺めた。

 回転寿司といえども、久々のお寿司に心躍っていた。鮭、ハマチ、ヒラメと好きなものを好きなだけ食べた。向かいに座っている相手が誰かは考えず、食事を満喫した。

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