ama-oto
 清人の手がそっとのびてきて、ぎゅっと抱きしめられた。

 「菜月をちょうだい。」

 清人が頭のてっぺんにキスを落とした。

 照れくさくて、恥ずかしくて、でも妙にうれしい。

 いつもより甘いキスをたくさんした。頭のてっぺんから足の先まで、清人はいつもより丁寧に触れてくれた。甘い甘い波の中で、お互いの指をからめて溺れた。

 「ホントに食べちゃいそう。」

 清人が甘い言葉をいつもより多めに落とした。頭の芯が溶けてしまったような、そんな感覚に陥った。

 ともかく甘い甘い波の中で、手をつないで溺れた。

 さんざん溺れて疲れて、気がついたら朝になっていた。
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