ama-oto
11
　知香とはいつも行っていた、近所の居酒屋で待ち合わせをした。アパートを出て居酒屋に向かう途中、駅から居酒屋に向かう知香の背中を見つけた。

　「知香！」

　バタバタと走って知香に追いついた。

　「菜月～！！」
　「いやー、ビックリした！何かうれしい。」
　「私も～！！」

　嬉しさのあまり、ハグしてしまった。都会に出た後に一緒に飲める同郷の友がいることは、実はとても稀有で大切な存在だということ、そのことを知香の存在で知ることができた。久々に会えて、いろいろなアレコレが吹っ飛んだ。

　店について、まずはビールで乾杯し、翌日休み同士で何も気にせず、食べて飲んだ。お互いの近況を話したり、5月の連休で帰省した知香の地元話に花を咲かせた。

　それなりお酒が入り、ゆるゆる語りモードに入り始めた頃、知香が私を誘った本題を切り出した。
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