ama-oto
　「ところで、年下彼氏とはうまくやってんの？」
　「まー、そうだね。ぼちぼち、かな。」

　知香は、清人を好きになった私に、冷静になるよう忠告した最初の人間だ。ただ、付き合うことになって、たまたま3人でランチに行くことになった時に、「悲しい思いにさせないように」と清人に釘をさして私を応援してくれた。清人とは面識がある。

　月曜日の電話の時、何かあるのかと思ったが、どうやら清人のことだったらしい。

　「たまたまさ、外回りで遅くなった時に、見ちゃったんだ。」
　「何を？」
　「あの…清人くんが…」
　「ゆるふわ系のかわいい女の子と歩いてた？」

　たぶん、知香が見たのはあの子だろう。私とは真逆の、ゆるふわ系でかわいらしい、口が達者ではなさそうな、守ってあげたくなっちゃうような、そんなあの子だ。

　「知ってたか。」
　「前々からね。たまたま、2人が一緒に歩いてるとこ見たりしたから。」

　そう、土曜日に見た、決定的な瞬間以外にも、3回ぐらい2人でいるところを見たことがある。疑う気持ちと私の前の清人を信じたい気持ちが入り混じって、なあなあにしてきただけだ。
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