ama-oto
「なんだ、知ってたか。その割に冷静だね。」
「たぶん、清人は見かけたこととか知らないと思う。」
「そうか。」
知香はため息をついて、手元にあった梅酒ロックを一口飲んだ。
「それって月曜日?」
知香は深くうなずいた。手をつないで、仲良さそうに歩く清人とあの子を見て、私が心配になり電話したそうだ。知香が知らないうちに、私が失恋でもして凹んでたりするのかとも思ったらしい。
『恋愛感情をどんなに遠くに投げ去ってても、落ちる時は落ちるんだよ。』
あの時の知香の瞳を、私は何度思い出しただろう。吹っ切れて告白すると言った時の言葉は、未だに心の奥で、錨のように私の揺れ幅を収めてくれている。
『気持ちはどうしようもない。好きになったらそれはその時。どう動くかは自分次第。どう動かれるかは相手次第。人の気持ちほど見えないものはなくて、自分の気持ちほど分からないものはない。』
見えない『人の気持ち』
「たぶん、清人は見かけたこととか知らないと思う。」
「そうか。」
知香はため息をついて、手元にあった梅酒ロックを一口飲んだ。
「それって月曜日?」
知香は深くうなずいた。手をつないで、仲良さそうに歩く清人とあの子を見て、私が心配になり電話したそうだ。知香が知らないうちに、私が失恋でもして凹んでたりするのかとも思ったらしい。
『恋愛感情をどんなに遠くに投げ去ってても、落ちる時は落ちるんだよ。』
あの時の知香の瞳を、私は何度思い出しただろう。吹っ切れて告白すると言った時の言葉は、未だに心の奥で、錨のように私の揺れ幅を収めてくれている。
『気持ちはどうしようもない。好きになったらそれはその時。どう動くかは自分次第。どう動かれるかは相手次第。人の気持ちほど見えないものはなくて、自分の気持ちほど分からないものはない。』
見えない『人の気持ち』