ama-oto
 月曜日の夜。確かに、清人のバイトシフトは月曜日の夕方から夜。バイトで一緒だから送ってあげたりしてたんだろう。そのうちに、ということなんだろうな、なんてぼんやり想像した。ただ、そのあとに出た知香の言葉は意外だった。

 「ただ…」
 「ただ?」

 少なくなった梅酒ロックのコップを見つめて、知香は言葉を探していた。軽く目を閉じて、コップの残りを飲み干した。

「何かね…微妙な顔してたんだよ。」
 「微妙?」

 付き合っているんだろうか、それとも付き合わされているのか、ともかく言いようのない、微妙な空気が見て取れたらしい。手も、指と指をからめてがっちり恋人つなぎしていて、それなり楽しそうに話しているんだけど、清人が8割ぐらい上の空の目をしていたそうだ。時々あの子の方が、「聞いてる?」ていうような感じだったそうだ。

 「ねー、逆にさ。菜月はどうなの?」
 「どうなの、って、いや、清人以外、気になる人とかいないよ。」
 「疑われるようなこととかは?」
 「月曜日か…」
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