ama-oto
 「本人に見られている可能性はかなり低いと思う。」
 「近所に清人の友だちが住んでるとか、考えられるでしょ!」
 「同期とランチしてただけだし、回転寿司だよ。」
 「いや、異性と大学外で食事って段階でアウト。」

 返す言葉がなかった。

 「しかも、言ってなかったんでしょ、そのこと。」

 うなずくことしかできなかった。知香はやれやれという顔をして、私を見ていた。

 「とりあえず…飲み物追加するか。」

 二人とも手元のグラスが空になっていた。メニューを見ながら、次の飲み物とチーズの盛り合わせを頼んだ。

 「気になる行動とかはないの?」
 「気になる、ね…」

 清人の行動を振り返ってみると、もしかしたら、と思い当たることはある。月曜日の電話と水曜日のこと。特に水曜日のこと…あんな甘ったるいこと、ちょっとご無沙汰だったような気がするというか、今までなかったぐらいの甘さだった。ただ、日曜日のこともあるから何とも言えないけれども。
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