ama-oto

 私と清人は公園から5分ぐらい歩いたところにある、TSUTAYAに向かった。先週友だちと話している時に話に出た映画が面白そうで、菜月も好きそうだから一緒に観たかったと言われた。陳列棚を進んでいるとき、見覚えのある眼鏡の男性が見えた。まさかと思いその方向を見ていたら、その眼鏡の男性と目があった。

 できれば今は、プライベートの時間では会いたくなかった。

 「あれ?豊崎さん?」

 その声に、清人が振り返った。見覚えのある眼鏡の男、それは福間くんだった。

 「知りあい?」
 「うん。大学院の同期。」

 陳列棚にDVDを戻していた手を止めて、福間くんがやってきた。

 「彼氏?へーえ。」
 「そ。っていうか、仕事中でしょ。」
 「まーね。大学院の同期の福間です。」

 そういって、福間くんは清人に会釈した。清人も軽く自己紹介して会釈した。

 「じゃ、仕事戻るわ。」
 「はいはいはい。」

 振り返ると、清人は目的のDVDを探しに別の棚の前に移動していた。
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