ama-oto
 入学式後のガイダンスの時、もう会うことはないと思っていた、静かに泣いていた人がそこにいた。人懐っこい笑顔と、あの泣いている様子からは全く察することができなかった、マシンガントークぶりに、圧倒されてしまった。

 ディスカッション中心の授業が多く、その中で、彼女の人となりを知った。普段は明るくおしゃべりで、ちょっとだけぼんやりしている人だけれども、議論となった場合は、相手の話をよく聞き、疑問となった論点をスパッと指摘する。激しい議論にはなるが、喧嘩腰にはならない。誹謗中傷ではなく、本当に疑問に思った点だったり、足りない点を指摘し、有意義な議論をする。

 勉強熱心なのに、きちんとした女性。大学院まで進んでいる女性のイメージは、研究や勉強中心で、身だしなみとかがイマイチと、穿った見方をしていた。彼女は毎日化粧をして、華美ではないが地味でもない、とても女性らしい身だしなみをしていた。

 そして彼氏がいた。年下の、ほれ込み具合がびっくりするぐらい、好きで好きでしょうがないという彼氏が。知りたくなくても、彼女の様子や周りの話から、彼氏のことをあれこれ知ることとなった。

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