恐怖短編集
きた。


心の中で呟き、体をギュッと硬直させる。


さっきまで人間のものだった私の体は、一瞬にして鉄に変わる。


正式には鉄に変わってしまったかのように、動けなくなる。


こんなときでも、心だけはちゃんと人間のままでいる。


どうせなら、心が鉄になってしまえばいい。悲しみや恐怖なんか、感じなくなってしまえばいい。


ギュッと学生カバンを握り締めた右手には、じっとりと汗がにじみ出て、足が小さく震える。

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