恐怖短編集
私はその様子をぼんやりと見つめ、それから、その向こう側へと目をやった。



自分の写真が飾られている。一つではない、


修学旅行のときのもあれば七五三の時のもある。


どれも引き伸ばしされていて、その回りには沢山の花が飾ってある。


私の大好きな歌手のCDや、好きなマンガや、好きなジュースまで。


ここまで見て理解しない人間はいない。


私は……死んだ?


また、世界がゆがんだ。


「どうです? 理解できましたか?」


男が言った。


辺りは真っ暗で、男のいる場所だけが明々と光を浴び、ひだまりのようになっている。


足元を見ると、牛乳瓶一本ではなく花束が置いてあった。


私と、アリサの、二人分の花束。
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