恐怖短編集
「夏海、おはよう」


教室に入って、親友の岸部恭子からそう声をかけられると、私はようやくホッとした笑顔を見せる。


「おはよう」


朝の挨拶をしながら、教室の真ん中の席に座る。


恭子は胸まである茶髪をポニーテールにして揺らしながら、


「今日も出た?」


と聞いてきた。


「あぁ……うん」


恭子にだけは、毎日繰り返されるチカン被害を打ち明けている。


「誰なんだろうね、全く! 気持ち悪い!」


まるで自分のことのように怒ってくれる恭子に、私は軽く苦笑する。
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