*嘘月とオオカミ先輩*
「よぉーエリ、ハルカ」
不意に後ろからかけられた声に振り向くと、やたらと明るい表情をした茶髪の男が目に入った。
「あれ、コウキも今の講義出てたの?」
エリの言葉に、コウキはニカッと白い歯を見せる。
「あぁ、後ろの方で爆睡――てハルカ、首どうかしたん? 押さえてっけど」
「えっ?」
言われて咄嗟に手を外してしまった。
隣でエリが「あ、バカ」と小さく呟く。
けれど時既に遅く、背の高いコウキにハッキリとそれを見られてしまった。