*嘘月とオオカミ先輩*



「よぉーエリ、ハルカ」



不意に後ろからかけられた声に振り向くと、やたらと明るい表情をした茶髪の男が目に入った。



「あれ、コウキも今の講義出てたの?」



エリの言葉に、コウキはニカッと白い歯を見せる。



「あぁ、後ろの方で爆睡――てハルカ、首どうかしたん? 押さえてっけど」

「えっ?」



言われて咄嗟に手を外してしまった。

隣でエリが「あ、バカ」と小さく呟く。

けれど時既に遅く、背の高いコウキにハッキリとそれを見られてしまった。


< 12 / 382 >

この作品をシェア

pagetop