*嘘月とオオカミ先輩*


コウキは凄く潔癖症で、浮気とか不倫とかが大嫌いだ。

とはいっても、やっぱり悪いのはあたしで――。


しゅんとなるあたしを一瞥して、コウキは唇を突き出すように口を開く。



「そういうのってさ、男ばっかりがいい目みんだよ。すげー許せねぇ」



男の立場でありながら、憤りを隠さないコウキ。


あたしよりも先輩に対して怒りを感じてるのか……。



「でも、もともとあたしから誘ったようなもんだし」

「最初だけだろ」

「でもズルズル続けちゃうのはやっぱハルカにも問題あると思うけどねー」



艶々と光る唇をアヒルみたいな形にしてつまらなそうに呟くエリの

その客観的な物言いは、ざくりとあたしの心臓をえぐる。
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