*嘘月とオオカミ先輩*

 色彩を嫌って




「ハールカ」



どよんとくすんだ教室に、一際明るい声が響く。

見上げた瞬間、エリとコウキの見慣れた顔が目に入った。



「うぉっ、病んでんなー」



人の顔を見た途端に顔をしかめるコウキ。

その隣でエリも大きく息を吐き出す。



「もう1週間でしょー。いい加減そんな顔すんのやめたら?」



傍の席に腰を落としながら、友人達は呆れたようにあたしを見た。

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