*嘘月とオオカミ先輩*
「まぁ……そりゃあ」
気まずいに決まってる。
本当は先輩が悲しそうにこっちを見てるのも知ってた。
でもあたしは、それを無視してる。
先輩の姿が目に入る度、その声を聞くたび、
激しくうねる心臓を落ち着けるのが大変だった。
「辞めりゃいいじゃん。だいたいハルカって運動苦手だろ?」
「まぁ苦手だけど……。でも1度入ったのにそんな簡単に辞めるのも……」
そう言ったあたしの頭にコウキはポンと手を置く。