*嘘月とオオカミ先輩*



「ホント真面目だな」



苦笑しながらぽつりと提案する。



「じゃあ今日のサークルは休めよ。1日くらい休んだってどうってことないだろ?」

「んーでも……」


言いかけたあたしの言葉を遮るように、コウキは鞄から何かを取り出した。



「ほら、映画の優待券あるから行こうぜ。期限が今日までなんだよ」



2枚のチケットをヒラヒラ揺らして、机に頬杖をつく。



「うーん」



それでもまだ渋っていたあたしの腕を取って、コウキは立ち上がった。



「たまには『彼氏を優先する』。これも大事な恋愛技術だぞ」


< 171 / 382 >

この作品をシェア

pagetop