*嘘月とオオカミ先輩*
映画館を出た後、近くのファミレスで夕飯を食べて、帰路についた頃には月がのぼっていた。
「んじゃね、また明日」
最寄の駅で電車を降りようとしたら、
「あ、待った俺も」
コウキは何故か一緒に降りてきた。
「あれ、どうしたの? この先の駅で乗り換えでしょ?」
「送るよ。どうせ定期圏内だし」
「え、いいよ別に」
首を振るあたしの頭を押さえるように、コウキの大きな手が置かれる。
「いいから、送らせろって」