*嘘月とオオカミ先輩*
ふと、大きな手があたしの右手を包み込んだ。
その温度にびっくりして見上げると、コウキはいたずらっ子のように笑ってて。
「まーそのうち前に進めるからさ。別れは次の恋の始まりって言うだろ」
「……なるほど」
そういう考え方もできるのか、と素直に感心してしまった。
私の手を取ったまま歩き続けるコウキ。
右手に感じる温もり。
「手……繋ぐのとか」
「ん?」
「小学生のときの遠足を思い出す」
「遠足かよ」
あたしの発言にハハッと笑ってコウキは繋いだ手に力を込めた。