*嘘月とオオカミ先輩*
嘘月とオオカミ先輩
薄暗い公園の中で抱き合ったまま、先輩は幾度となく溜息を零した。
「しかしハルカかぁー。ホント、紛らわしいよなー」
「……はるかって読み方の人も、結構いると思いますけど」
「けど、あれはゆうって読む方がメジャーだろー」
名前にケチを付けられたような気がして、軽く反撃に出る。
「先輩だって名前が矛盾してるじゃないですか」
「え?」
「『望月』って満月ってことでしょう? 『朔夜』は新月の夜って意味じゃないですか」
「へぇー」
何故か感心されている。
微妙な気持ちになりながら、あたしはさらに言葉を紡いだ。