*嘘月とオオカミ先輩*
そこに見えたのは、芝生に埋もれた人影だった。
月明かりが、寝転がって足を組んでる先輩を静かに映し出す。
「サクヤ先輩……何してるんですか」
「えー? お月見?」
ゴロンと寝転がった状態でのんびりと前方の大きな月を指差す。
「今夜の月は一段と綺麗だな~。ねぇ、ツッキー」
こっちを見てにっこり微笑む邪気のない顔。
不覚にも心臓がキュッと締まる。
「先輩って……変わってますよね」
「えー? あっっうわっ!」
瞬間、サクヤ先輩は妙な悲鳴を上げた。