*嘘月とオオカミ先輩*
自分が主審を担当しているコートの向こう側で、1年達が横並びにサーブの練習をしてる。
1年の面倒を見る世話役、今日は確か友坂と……三條――。
なんとなく嫌な予感がして、教えを請う学生達の中に彼女の姿を捜した。
と、列の一番端にタオルを頭に巻いた長髪男と談笑する月島の横顔が見えた。
三條のヤロ――
近寄るんじゃねえ!
心の中で罵声を上げた瞬間だった。
「サク!」
真横から鋭く響く高い声。