*嘘月とオオカミ先輩*
「……あ」
先輩の手の中にあったのは、毛羽立った黄色い満月。
「これでしょ? 探し物」
「……ありがとうございます」
拾っておいてくれたのか。
いつの間に……?
「つか、いくら近くにみんないるからってこの辺りは暗いんだからさー」
先輩はあたしの手にボールを押し付けながら、
「女の子1人でうろついたらアブねーって。今度から誰かに付いてきてもらいなさい?」
「……」
急に真面目な顔をして先輩らしいことを口にするから、思わず吹き出してしまった。