*嘘月とオオカミ先輩*



先輩の頭に叱られた犬の垂れた耳が見えるみたいだった。



哀しげな顔のまま、サクヤ先輩は静かに私の手を取る。

そのまま、2つの影が月の照る夜道を歩き出した。



どうしてだろう。



隣を歩く先輩の顔を見上げながら、胸がちくちくと痛むのを感じる。




あたし、間違ったこと言ってるのかな?




握った手はいつもと同じはずなのに、

伝わる先輩の温度がいつもよりも薄い気がする。


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