*嘘月とオオカミ先輩*

 思いがけない事実に




接触しないようにしましょうとはっきり口にしたあの日以来、サークルで先輩とめっきり話さなくなった。


自分から望んだこととはいえ、こう極端に距離を取ると、身体のどこかに穴が開いたみたいで、隙間風を感じる。


そして気がつくとサクヤ先輩を目で探してしまう自分がいた。

先輩がいま何処にいるのか、誰と話してるのか、どうしても気になってしまう。



まるで付き合う前の、片想いのときみたいだ。



そう思いながら、ベンチに座っている休憩中の3年生の輪の中に先輩の姿を捜す。



……いた。



ベンチの端っこで、サクヤ先輩はペットボトルを手に女の先輩と談笑してる。

その姿を見つけたのと同時、背後に気配を感じた。


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