*嘘月とオオカミ先輩*



「え……?」



三條先輩の声が突風のように吹き抜けていく。

耳に入った一瞬では意味を理解できなくて、あたしは風に散った言葉を拾い集めるように反芻した。




ナナミ先輩が、サクヤ先輩を――




ふと、向こうにいるサクヤ先輩と目が合う。

でもなぜか、その視線を受け止めることができなくて、あたしは咄嗟に顔を逸らしてしまった。




心臓の音が高い……。


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