*嘘月とオオカミ先輩*



3人での帰り道はなんだか空気が重苦しかった。



あたしとサクヤ先輩の間に三條先輩が立つという並びで、

不機嫌そうに前を向いたまま無言で歩いてるサクヤ先輩の隣で、三條先輩は陽気におしゃべりを続けている。



「へぇーツッキーん家ってこっちの方なんだ〜。あ、この公園、俺の近所の公園に似てる!!しかし外灯少ねぇな〜。こんな道あぶなくない?」



適当に相槌を打ちながら、三條先輩がいつナナミさんのことを話題に出すかと、あたしは終始ひやひやしていた。


いつもの2人の帰り道で、サクヤ先輩にナナミさんのことを考えてほしくなかった。


と、不意に耳元に吐息が当たり、あたしは身体を竦ませた。


< 297 / 382 >

この作品をシェア

pagetop