*嘘月とオオカミ先輩*
先輩の……彼女の話だ。
「まだ続いてんだろ?」
「あー」
「なんか浮かない顔だな。上手くいってねんだろー」
「……んなことねーけど」
「カワイイ子は少しでも気ィ抜くとどっかいっちゃうしな。首輪でもしとけばー?」
あははとみんなの笑い声が部屋の中に充満する。
別に珍しいことじゃなかった。
サクヤ先輩はすぐ顔に出るから、サークル内では彼女のことでよくからかわれてる。
最初に見たときも青い顔してたもんなぁ。
ミドリちゃんの話を聞くフリをしながら、5ヶ月前に見た先輩の顔を頭の中に再生させた。