*嘘月とオオカミ先輩*
売店に行っていたエリとコウキがビニール袋を提げて近づいてくる。
「あ、男だ」
あたしの隣に座っているサクヤ先輩に気づき、エリが細い眉を上げた。
対照的にエリの隣に立っていたコウキは「げっ」と眉を歪める。
「ん? ハルカちゃんのお友達?」
面識があるはずのコウキを華麗に無視し、先輩はエリに笑顔を向ける。
「はじめまして、望月です」
「ふぅん、これが先輩かぁ」
「ん?」
エリの失礼な発言に先輩は笑顔を崩さないまま首をひねる。