*嘘月とオオカミ先輩*
あたしには負い目があった。
彼女がいたサクヤ先輩に、カラダを使って近づいたという負い目。
それを、もしナナミさんやサークルのみんなに知られたら――
そう考えると体がこわばる。
先輩との平穏な今を、責められるかもしれない。
人の不幸の上に成り立った関係だと——
弱いあたしはどうしても躊躇してしまう。
そして周りに疑われないように先輩から遠く離れて、
目も合わせないで、
それでも気付けば無意識に愛しい姿を捜す。