*嘘月とオオカミ先輩*
振り返ると、三條先輩が得意げに親指を立てていた。
「今日は俺が夜道の騎士になってしんぜよう」
その髪は打ち上げのときにふざけてポニーテールにしていたままで、騎士というよりはどことなく武士っぽい。
もしかすると、本人もそのつもりなのかもしれない。
「あ……あの」
「さ、帰ろ帰ろ」
エスコートするようにあたしの背中に手を置き、三條先輩は改札に向かおうとする。
それに抗い半ば強引に足を止めた。