*嘘月とオオカミ先輩*

 

あまり慣れていない男の人に触れられると、体がこわばる。
 
同じ大きな手でもサクヤ先輩の手は温かくて安心するのに、三條先輩の手はなんだか恐い。
 


サクヤ先輩……。
 


思い立ち、あたしは急いで駅の階段を駆け下りた。

打ち上げが終わってから少ししか経っていないのに、さっきよりもずっと空気が冷え込んでいる気がする。
 


早く先輩のぬくもりに触れたい。



心臓が騒いでる。
 


さっきまでいた居酒屋まで戻り、周辺の路地をくまなく覗いていく。
 


先輩、どこ?

 
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