*嘘月とオオカミ先輩*



「すみません、念のため年齢が確認できるものご提示願えますか?」



申し訳なさそうな顔で頭を下げる店員さん。

22時以降は18歳未満の入店禁止ということで、あたしはたまに身分証の提示を求められる。

慣れたことなのでつつがなく運転免許証を差し出した。

その後ろから、求められてもいないのに先輩も免許証を突き出してる。



「ありがとうございます。ではこちらのお席へどうぞ」



案内されながら、先輩はあたしの免許証をひったくって眺める。



「ツッキー、髪くろーい」



きゃははと笑ってる酔っ払い。



「染める前に取ったんだから当たり前じゃないですか。……返してください」



こんなやりとりもいつものことだったりする。

< 33 / 382 >

この作品をシェア

pagetop