*嘘月とオオカミ先輩*


席に着くなり先輩は串の盛り合わせとレモンサワーを注文し、ぐでっとテーブルにうつぶせた。



「だ、大丈夫ですか?」

「えー? あ、そうだツッキー隣駅に新しくできたケーキ屋すげーウマいらしいよ。今度昼間行かね?」



酔いながらも無邪気な笑顔を見せる先輩に、心臓がドクドク脈打つ。

先輩と昼間にケーキ屋さんって、まるでデートみたい。


行きたいな……。


でも頭に響くのはさっきの居酒屋での笑い声。



――カワイイ子は少しでも気抜くとどっかいっちゃうしな。首輪でもしとけばー?――



ドキドキ鳴っていた心臓が、今度は鈍く痛みだした。


ダメだ。何考えてんだろうあたし。

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