*嘘月とオオカミ先輩*
「そ、そういうのは彼女と行ってあげてください」
水のグラスを引き寄せながら言うと、先輩はゆるく微笑んだ。
「だよなー」
「……」
先輩の微笑みに心臓が捩れて痛む。
必要以上に踏み込んだら、今の関係を壊してしまうかもしれない。
そんなの、十分わかってるのに……。
なんか、やだな……。
もやもやとした感情を悟られないように俯いた瞬間、テーブルをトントンと叩く長い指が目に入った。
誘われるように顔を上げた途端、先輩のどことなく寂しげな視線とぶつかる。
「ツッキーなんか怒ってる?」