*嘘月とオオカミ先輩*
あたしを探しに来てくれたわけじゃないのかな…?
そんなことを考えながらじっと見つめると、先輩はまるで観念したようにふぅと息を吐いた。
「さっきのカエルをさ」
あまり思い出したくない生き物の名前を出し、先輩はあたしの後方に視線をやった。
「三條のヤツにくっつけてやろうと思ったんだよね」
「え……?」
眉をひそめるあたしに向かって、先輩は苦笑してみせる。
「カエルがくっついてればハルカちゃんがあいつに近づかないと思ったんだ」
「……」
唖然と口を開いているあたしに、サクヤ先輩は自嘲めいた笑みを作った。
「我ながら子供じみてるよな」