*嘘月とオオカミ先輩*
「どうしようか迷って、とりあえずカエル持ってたし、下手なことしてバレたらまずいかなと思ってつい引き返しちゃって」
されるがままになっていたあたしを叱るどころか、もやもやとした曇を自分の中に閉じ込めてしまった先輩。
あんな場面を目撃したときでさえ、自分を押し殺して感情を押さえ込めるなんて。
それがどんなに強さを要することなのか、想像もできない。
あたしは先輩とナナミさんがただ並んで座ってるだけで、心が醜い感情に冒されそうになったのに。
「ごめんなさい、先輩」
サクヤ先輩の優しさに甘えて、負担を強いていたのはあたしだ。
「ごめんなさい」